口腔機能管理研修会(施設向け)
1.挨 拶 動画①
2.講 演
1)~医科歯科連携のための 口腔と全身疾患の基礎知識~
総論 口腔と全身疾患の基礎知識 動画②
各論 1 口腔と腸内の細菌叢:その類似点と相違点 動画③ 配布資料
各論 3 ここまでわかった歯周病と難治性全身疾患 動画⑤ 配布資料
講師:落合邦康日本大学 特任教授(約50分×4講演)

近年、“慢性炎症性疾患・歯周病”がさまざまな難治性全身疾患のリスクになることが各国の医学、自然科学の専門誌で報告されています。口腔の全身疾患に及ぼす影響が科学的に解明されるにしたがい、医療における歯科医療の役割は大きな注目を浴びております。う蝕という硬組織疾患の治療を中心に発展した歯科医学は、咬合機能回復のための修復技術と材料開発(入れ歯づくり)が最優先課題として発展してきました。さらに、口腔はその特殊性から異分野の研究対象とはなり得ませんでした。また、う蝕や歯周病は直接の死亡原因にならないと考えられ、一般からも口腔疾患は軽視されがちでした。しかし、高齢化社会を背景とした要介護者の増加、周術期・終末医療における専門的口腔ケアの重要性が認識されるようになりました。また、医療費問題という喫緊の課題に対し、歯科医療の果たす役割が再認識されています。これからの歯科医療は、全身疾患予防を視野に入れ、医科を中心とした異分野との連携が必須となると思います。
われわれは「新たな視点で全身から口腔を俯瞰し、それらの結果を元に口腔から全身疾患を考える」という理念「歯学的医学」に基づき研究を続けてまいりました。その結果、歯周病原菌によるHIVの再活性化とAIDS発症、ガン関連ウイルスのEBV再活性化、口腔細菌によるインフルエンザの感染促進と重症化、そして、がん細胞の転移・促進。さらに、口腔ケアによる高齢者の誤嚥性肺炎予防法などの成果を得ました。これらの研究結果から、口腔と全身疾患の関連性をより明確にし、血液を介して「口腔の情報は全身に伝わり、全身の情報は口腔に伝わる」ことを各方面に情報発信してまいりました。
日本細菌学会の祖・北里柴三郎博士は、「医学の究極の目的は予防に有り」といわれました。口腔も例外ではありません。全ての歯科医療従事者はこれらの事実を認識し、口腔の知識のみならず、口腔を取り巻く環境、つまり、全身の生理機能や加齢変化、そして、免疫など関連領域における専門性の高い総合内科医的な視点を持つことが重要と考えます。また、直面している医療費問題解決には、科学的根拠に基づいた歯科医療と口腔ケアの重要性、つまり、「健康長寿における口腔の重要性」を医科・歯科、さらには行政と連携し、広く国民に周知するための啓蒙活動が重要になると思います。
本講演内容は以下の4つの部分から構成されております。必要とされる部分からご覧いただけると幸いです。
総論 口腔と全身疾患の基礎知識
各論 1 口腔と腸内の細菌叢:その類似点と相違点
各論 2 う蝕と歯周病、口腔と免疫
各論 3 ここまでわかった歯周病と難治性全身疾患
落合邦康 略歴 :
1973年; 日本大学農獣医学部 (現:生物資源科学部) 獣医学科卒業
1975年; 日本大学・松戸歯科大学・助手 (細菌学)
1978 ~ 80年; Alabama大学Birmingham校 Medical Center博士研究員
(微生物学、免疫学、生化学分野)
1987年; 日本大学・松戸歯学部・講師専任扱い(細菌学)
1994年; 日本大学・松戸歯学部・講師 (細菌学)
2000年; 明海大学・教授、歯学部 (口腔微生物学)
2005年; 日本大学・教授、歯学部 (細菌学)
同総合歯学研究所・教授 (生体防御部門)
2016年; 日本大学・特任教授、 現在に至る。
2)超高齢社会を支える「入れ歯」の役割について 動画⑥
講師:河原英雄先生(歯科医師、医学博士)(50分)
3)口腔の健康がもたらす全身の健康
~多職種連携による医学的・経済的メリットについて~ 動画⑦ 配布資料
講師:鵜沢一弘教授(千葉大学大学院医学研究院口腔科学講座)(20分)

口腔は全身の入り口であるため、その状態によっては、時に全身に影響をおよぼすことは広く知られてきています。全身疾患の治療を担当する医科において、社会の高齢化・少子化が進むなかで、人生のあらゆるステージという意味から、関連する他領域の職種とのシームレスな連携することが求められます。この多種職の連携が有機的に進むと、医学的・医療経済的メリットが生まれ、患者、ならびに医療サイドの双方に、ウインウインの効果が得られます。
そのなかで、特に口腔衛生を専門とする歯科との緊密な連携は不可欠です。この医科歯科連携の柱となるのは、周術期口腔機能管理、栄養管理、そして、退院時共同指導による地域包括医療とケアの確立であります。 講演では、この「口腔の健康がもたらす全身の健康」と題して、歯科を含めた多種職連携によるメリットについて解説いたします。
【氏名】鵜澤 一弘(うざわ かつひろ)
【所属】
千葉大学大学院医学研究院口腔科学講座 教授
千葉大学医学部附属病院歯科・顎・口腔外科 科長
【略歴】
1991年3月 日本大学松戸歯学部卒業
1996年3月 千葉大学大学院医学研究科外科系専攻(口腔外科学)修了
1996年4月 千葉大学医学部附属病院歯科口腔外科 医員
1996年10月~1998年12月
The University of North Carolina at Chapel Hill 留学
1998年4月 千葉大学助手医学部附属病院(歯科口腔外科)
1999年6月 千葉大学講師医学部(歯科口腔外科学)
千葉大学医学部附属病院歯科口腔外科講師 兼務
2000年7月 千葉大学助教授医学部(歯科口腔外科学)
千葉大学医学部附属病院歯科口腔外科助教授 兼務
2001年4月 千葉大学助教授大学院医学研究院(臨床分子生物学)
2007年4月 千葉大学准教授大学院医学研究院(臨床分子生物学)
千葉大学医学部附属病院歯科口腔外科准教授 兼務
2014年4月 千葉大学准教授大学院医学研究院(口腔科学)
2020年12月 千葉大学教授大学院医学研究院(口腔科学)
千葉大学医学部附属病院歯科・顎・口腔外科 科長 兼務
現在に至る
【資格】
日本口腔外科学会 専門医・指導医
日本口腔科学会 認定医・指導医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医・責任指導医(歯科口腔外科)
日本顎顔面インプラント学会 指導医
日本口腔腫瘍学会 口腔がん専門医・指導医
国際専門医認定医機構 国際口腔顎顔面外科専門医(FIBCSOMS)
【社会活動】
日本口腔外科学会代議員
千葉医学会評議員
日本大学松戸歯学部兼任講師
日本歯科大学生命歯学部非常勤講師
関東厚生労働局千葉事務所 保健指導医
歯科医師臨床研修プログラム責任者
Scientific Report誌 編集委員
International Journal of Oncology誌 学術編集委員
Oncology Letters誌 学術編集委員
Molecular Medicine Reports誌 学術編集委員
4) 口腔ケア(自分磨き、介助磨きの手技、義歯の取り扱い等) 動画⑧ 配布資料
講師:植草恵子氏(千葉県歯科衛生士会 専務理事)(30分)

「口腔ケア」には、歯磨きで口の中をきれいにして、むし歯や歯周病、口臭を予防することに加え、高齢者では口の機能を維持するためという目的があります。
むし歯や歯周病で、歯や歯ぐきの状態が悪いとしっかり噛むことができなくなり、十分に栄養を摂ることができず身体機能の低下や、認知症の場合には症状が進んでしまう場合もあります。誤嚥性肺炎など口腔内細菌と全身疾患との関連性も近年明らかになってきました。口腔ケアはそれらを予防し、口の健康と全身の健康を守るためにとても大切です。そして、口腔ケアを行うことによって食べる喜びや笑顔で会話を楽しむなど「その方らしい生活」を送り続ける生きがいにもつながります。
今回は「口腔ケア」について具体的にお話させていただきます。
5) 「8029ソング~健康ダンス~」(5分) 動画⑨
◇アンケート
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